とおりすぎる

     作 林 靖英

 

主要登場人物

ユウスケ:主人公、「ぼく」慶應大学二年文学部英米文専攻

ソノコ :主人公の彼女、同大学二年社会学専

フユツキ:主人公の浮気相手、準の幼なじみ、同大学二年哲学専攻

 

 

 


とおりすぎる 

 

1 井の頭公園の入り口の坂(現実)

ユウスケは一人で井の頭公園の入り口の坂道を歩いている。坂道の入り口にはホテル井の頭の大きなネオンの看板がある。ユウスケは黙って坂を歩いている。前の方からカップルが仲よさそうに歩いてくる。ユウスケの薬指には指輪がはまっている、ユウスケはそのまま公園に入って行く、空は曇っていて薄暗い

 

2 恵比寿の公園(回想)

空には雲一つない、ユウスケとソノコはえんとつのような滑り台のところで戯れている。ソノコの指にはユウスケと同じ指輪がはまっている。二人とも嬉しそうに笑っている

ソノコ「ねえ、ユウスケ……………………………………………ユウスケ…………………ユウスケ………………」

 

3 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

4 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとフユツキは井の頭公園の中を歩いている。フユツキは赤い花柄の浴衣、ユウスケは紺の浴衣を着ている。

 

5 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

6 ある夜の道(回想)

携帯を握りしめて時々それをいじりながら、夜道を一人でユウスケは歩いている

 

7 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

8 恵比寿の公園(回想)

ユウスケとソノコは砂場のふちに腰をおろして話している

ソノコねえ、ユウスケ……………………………………………そうおもうでしょ、ユウスケ…………………………………」

 

9 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

10 ある公園の中(回想)

携帯を握りしめブランコを一人こいでいるフユツキ、あたりは真っ暗で時計は十一時を指している

 

11 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

12 ある公園の中(回想)

携帯を握りしめブランコを一人こいでいるフユツキ、あたりは真っ暗で時計は十一時を指している公園の前の道をユウスケが歩いてくる

 

13 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

14 恵比寿の公園(回想)

ユウスケとソノコは手をつないで公園を出ていく

ソノコ「ねえ、ユウスケ……………………………………………ユウスケ…………………………………」

 

15 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

16 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとフユツキは手持ち花火をしている、足元にはチューハイの缶がある

 

17 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

18 恵比寿の町中(回想)

ユウスケとソノコは恵比寿の町中を手を繋いで歩いている、二人は駅の方へ向かう

 

19 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

20 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとフユツキは線香花火をしている、足元にはチューハイの缶がある、二人の距離はさっきより近い

 

21 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている

 

22 恵比寿の駅(回想)

ユウスケとソノコは手をつないだまま電車に乗り込む、

 

23 電車の中(回想)

二人は電車の中でも手をつないだままだ

 

24 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはぼんやりと歩いている、劇のための舞台のようなものが見えてくる

 

25 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとフユツキは線香花火をしている、足元にはチューハイの缶がある、二人の距離はさっきより近い、ユウスケの火種は途中で落ちてしまう、フユツキの火種は最後まで燃えてから消える

 

26 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケは舞台のようなところの周りにたくさんある観客席のようなものの一つに腰をかける、公園をあるく人たちをみつめている

 

27 渋谷駅の山手線のホーム(回想)

ユウスケとソノコは手を繋いだまま、山の手線を下りて、改札を出て、井の頭線の改札をくぐり、吉祥寺行きに乗りこむ

 

28 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

29 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとフユツキはベンチに座って、チューハイを飲みながら話している、二人の顔はどんどん近付いている

 

30 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

31 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケはフユツキを押し倒す、ベンチの上で抱き合う、二人の持っていた缶チューハイが地面に落ちて中身がこぼれ出している

 

32 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

33 井の頭線吉祥寺駅のホーム(回想)

ドアが開いて、ユウスケとソノコが手をつないだまま出てくる、二人は改札を抜けて、吉祥寺の町中に出ていく、

 

34 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

35 あるラブホテルの中(回想)

フユツキとユウスケの着ていた浴衣が重なって脱ぎ捨てられ、それが間接照明に照らされている、ベッドの上にはユウスケとフユツキがいる

 

36 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

37 吉祥寺の町中(回想)

ユウスケとソノコは手をつないだまま、町中を歩き、井の頭公園に入る

 

38 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケはすわったままぼんやりしている

 

39 井の頭公園の園内(回想)

ユウスケとソノコは舞台のようなものが見えるところまでくる、ユウスケが舞台のようなものを指さす

 

40 井の頭公園の園内(現実)

ユウスケの後ろ側からソノコがあるいてくる、ソノコはユウスケの肩を叩いて言う

ソノコ「ユウスケ」

ユウスケは微笑んで立ち上がる、あたりはもう真っ暗になってしまっている。駅へと続いている坂の方へ二人で歩く。坂は料理屋の明かりでとてもきれいに輝いていた。